茶色リスのレインコート

ミャムサインの森の端には、昼になると小鳥たちが低い枝に飛んできて休むほど、広い木陰をつくる年老いた栗の木がありました。その木の根元には、茶色リス一家のかわいらしい家がありました。リスは母親と妹のヘーゼルナッツリスと一緒に暮らしていました。彼はつややかな茶色の毛並みを持ち、ふわふわのしっぽは毛ばたきのように柔らかく、目はいつも好奇心で輝いていました。

その年の雨季は、いつもより早くやって来ました。灰色の雲が森の頂を次々と流れていき、さっきまで晴れていたのに、ほんの少し後には葉ぶきの屋根に雨粒がぱらぱらと落ちてきました。母リスは、滑りやすくなった土の道を心配そうに眺め、それぞれの子どもにレインコートを縫ってあげることにしました。

茶色リスのコートは、干して乾かした大きなハスの葉で作られ、その上には薄い蜜ろうの層が塗られていたので、水がしみ込むことはありませんでした。母親は胸の前に栗の実で作ったボタンを二つ縫い付け、襟の周りには柔らかな草のひもで縁取りをしました。コートは淡い緑色で、茶色リスの体にぴったり合っていたため、走っても、跳んでも、木に登っても、動きにくさを感じませんでした。

茶色リスは、樹皮でできた器にたまった水を鏡にして、コートを着た自分の姿を見ました。左に回り、右に回り、それから後ろに丸く開けられた穴から出ているしっぽを眺めました。母リスはほほえみながら、息子はとてもすっきりして見えると褒めました。ヘーゼルナッツリスも兄のコートを気に入りましたが、母親は大きくなってからも長く着られるようにと思って、妹のコートを少し大きめに作っていました。

茶色リスはコートの裾をなでながら、これは森全体でいちばんきれいなコートだと言いました。そして、コートを汚してはいけない、ボタンを強く引っ張ってはいけない、ましてや兄のコートを勝手に借りてはいけないと、妹に念を押しました。母親はそれを聞くと、レインコートは雨を防ぐためにあるもので、どんなに大切な物でも、愛する家族同士の優しさほど大事ではないのだと、やさしく言い聞かせました。

茶色リスはうなずきましたが、心の中にはコートを褒められたことしか残っていませんでした。コートをとてもきれいに保っておけば、森の友だちはみんな、自分が特別な物を持っていると分かってくれるだろうと思ったのです。

道の途中で降り出した雨

数日後、まん丸目フクロウ先生が茶色リスに、谷川の向こうの森の一角にある教室へ、栗の実の入ったかごを届けてほしいと頼みました。その日は空が澄みわたり、日差しが地面にまだら模様を落としていました。母リスは木々の梢を見上げ、天気が変わるかもしれないからレインコートを持っていきなさいと、息子に言いました。

茶色リスはコートを着て、二つのボタンをきちんと留め、喜んで出発しました。シダの茂みを通り、キノコを探しているハリネズミおじさんにあいさつをし、それから紫色の花の茂みのそばで、蝶の群れが舞う様子を見るために立ち止まりました。教室まであと少しというところで、山の方から雷鳴が響きました。風が強く吹き、木の葉がざわざわと揺れました。まもなく、雨がどっと降り始めました。

茶色リスはコートのフードを引き上げ、栗のかごを胸の前でしっかり抱え、教室の軒下へ向かって走りました。走っていると、後ろから弱々しい呼び声が聞こえました。

それは白ウサギでした。友だちは低い茂みの下に身を寄せ、濡れて二つの耳を垂らしていました。先生から頼まれた花を入れた布袋は、すっかり水がしみ込んでいました。白ウサギは葉っぱで頭を覆おうとしていましたが、風が次々に葉を吹き飛ばしてしまいました。

茶色リスは立ち止まりました。自分の体に着ている淡い緑色のレインコートを見て、それからまだかなり遠い道のりを見ました。コートを脱いで白ウサギに渡せば、自分が濡れてしまいます。二人で一緒に着れば、きっととてもゆっくり歩かなければならず、栗のかごも雨でだめになってしまうかもしれません。ほんの少しの間、茶色リスは、コートに触ってはいけないと妹に言ったことを思い出しました。

白ウサギはくしゃみをしました。そして、花を教室へ届けるために、少し雨をよけられれば十分なのだ、そうしなければ花が全部散ってしまうと言いました。

茶色リスが返事をする前に、大きな風が吹き抜けました。白ウサギの頭を覆っていた葉が水たまりの中へ飛んでいきました。身を縮めて震える友だちを見ていると、茶色リスの心から、コートを持っている喜びが消えていきました。そして、美しい物を持っていても、すぐそばで誰かが震えているなら、自分の心まで温かくすることはできないのだと、突然気づきました。

一着のコート、二人の友だち

茶色リスは胸の前の二つのボタンを外し、コートのいちばん広い部分を白ウサギの方へ引き寄せて、そばに立つように言いました。彼は栗のかごを高く持ち上げ、白ウサギはコートの裾の下で花の袋を抱えました。コートはもともと一人用に縫われていたので、二人はぴったり寄り添って歩かなければなりませんでした。風が吹くたびに、茶色リスはしっぽで友だちの背中の後ろまで覆いました。

教室までの道は、急にずっと長くなったように感じられました。茶色リスは白ウサギが滑って転ばないよう、ゆっくり歩かなければなりませんでした。白ウサギも、栗のかごに水が跳ねないよう、注意して歩こうとしました。二人はもう、コートが泥で汚れるかどうかなど気にしていませんでした。ただ、お互いをできるだけ濡らさないようにすることだけに集中していました。

坂道に差しかかったところで、茶色リスはうっかり木の根を踏み、足を滑らせました。栗のかごが片側に傾きました。白ウサギは急いで手を伸ばしてかごを支え、茶色リスは木の幹につかまりました。青いコートの裾に少し泥が跳ねました。茶色リスは汚れを見て一瞬悲しくなりましたが、白ウサギの花の袋が無事なのを見ると、またほほえみました。

二人が教室に着くと、まん丸目フクロウ先生が走って迎えに出てきました。先生は栗のかごと花の袋を受け取り、それから大きなタオルで二人の体を拭いて乾かしました。コートがなぜ汚れたのかは尋ねませんでした。ただ、茶色リスが立ち止まって友だちを助けられたこと、そして白ウサギが友だちと一緒に共有の物を大切にできたことを褒めました。

ほかの子どもたちは話を聞くと、すぐに二人の周りへ集まりました。ハリネズミの子は、雨の日にはいつでも、大きな葉を一枚余分に持ってきて小さな友だちを覆ってあげると言いました。スズメは、みんなで乾いたハスの葉を集め、教室に用意しておくことを提案しました。まん丸目フクロウ先生は、その日から部屋の隅に「分かち合いかご」と呼ぶかごを置くことにしました。使えるけれど自分には必要のない物がある人はそこに置き、困っている友だちが借りられるようにするのです。

軒下での教訓

授業が終わっても、雨はまだやみませんでした。茶色リスと白ウサギは軒下に座り、葉の端から水滴が落ちる様子を眺めました。茶色リスは、最初はコートが汚れるのがとても怖かったと打ち明けました。それに、みんながもうコートをきれいだと褒めてくれなくなるのも怖かったのです。

白ウサギは、茶色リスがいなければ花はだめになっていたかもしれないと言いました。でも同時に、茶色リスはいつでも自分の物をすべて誰かに与えなければならないわけではないとも伝えました。誰かを助けたいときは、自分にできることと、まだできないことをはっきり伝えればいいのです。コートが十分に大きくなければ、二人で大きな葉を探したり、大人が助けに来るのを待ったりできます。分かち合うというのは、自分を大切にすることを忘れるのではなく、誰も取り残されないように、一緒に方法を探すことなのです。

それを聞いて、茶色リスは白ウサギの言葉が本当に正しいと思いました。彼は、分かち合うとは自分のいちばん大切な物を人に渡し、自分だけが我慢することだと思っていました。けれど今は、分かち合うことには協力し、耳を傾け、もっとよい方法を一生懸命考えることも含まれるのだと分かりました。

雨がやむと、母リスが息子を迎えに来ました。コートの泥の跡を見ると、母親はまったく叱りませんでした。茶色リスは、起きたことを最初から最後まで自分で話しました。母親は耳を傾け、それから、コートは洗えばきれいになるけれど、優しさは正しい時に使わなければ、ときには雨水のように流れ去ってしまうのだと言いました。

家に着くと、茶色リスは母親と一緒に、川辺でコートを洗いました。彼は葉の裾についた泥の跡を自分でこすり、ヘーゼルナッツリスはタオルを持ってきて、栗のボタンを拭きました。コートは以前のような真新しい姿には戻りませんでした。小さな一角では蜜ろうの表面が擦れて、葉の色が薄くなっていました。茶色リスは少し残念に思いましたが、悲しくはありませんでした。その擦り傷を見るたびに、雨の道と、自分のために栗のかごを支えてくれた白ウサギの手を思い出すのでした。

栗の木の下のかご

翌日、茶色リスは、残っている葉を使って、雨よけを何枚か作らせてほしいと母親に頼みました。ヘーゼルナッツリスも柔らかな草のひもを出しました。兄妹はその葉を教室へ持っていきました。森の仲間たちは一緒に葉を折り、結び、日なたで乾かしました。やがて教室の隅には、レインコートや雨よけの葉、乾いたタオル、小さな袋などを入れた大きなかごが置かれました。

そのかごは、みんなからいちばん見えやすい、年老いた栗の木の根元に置かれました。必要な人は誰でも取り出して使い、乾かしたら返します。物が破れた場合は、借りた人が友だちと一緒に直します。誰も、誰が壊したのかを尋ねませんでした。また、いちばんよい物を自分だけのために取っておく人もいませんでした。

数週間後、また突然、雨が降り始めました。今度は、まだ翼の弱いスズメのひなが道の途中で動けなくなっていました。白ウサギは分かち合いかごから大きな葉を一枚取り出し、ハリネズミの子は草のひもを探し、茶色リスはまん丸目フクロウ先生を呼びに走りました。みんなが素早く協力したので、スズメのひなは安全に乾いた場所へ連れていかれました。

茶色リスは軒下に立ち、きれいに洗われたものの、まだ擦り傷の残る青いレインコートを眺めました。もう、それをきれいではないコートだとは思いませんでした。彼にとって、その擦り傷は、新しい物を所有することがいつも喜びなのではないと初めて理解したときの、優しい記憶の印のようなものでした。ときには、自分が持っている物を使って、友だちの寒さや恐怖、寂しさを少しでも和らげるときに、喜びが生まれるのです。

その日から、友だちがレインコートを借りたいと言うたびに、茶色リスは、すぐに「はい」か「いいえ」と答えることはなくなりました。友だちが何を必要としているのかを尋ね、一緒にふさわしい方法を探し、共有の物を大切にするよう伝えるのでした。淡い緑色のコートは今も家に掛けられています。それは眺めるだけの大切な宝物としてではなく、優しさには工夫も伴わなければならないという教えとして、そこにあるのです。

ミャムサインの森では、その年の雨季がいっそう温かいものになりました。雨が少なかったからでも、どのコートも新しかったからでもありません。小さな仲間たちが、広い葉の下で、以前よりも互いに近く寄り添うことを知ったからです。そして雨が家の屋根にぱらぱらと降るたびに、茶色リスはほほえみました。一着のコートが覆えるのは数人だけですが、一つの優しい思いは森全体に広がっていくのだと、思い出すのでした。

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