茶色リスと丘の向こうの小川
野の花でいっぱいの丘のふもとにある森に、すばしっこくて、いつも忙しくしている茶色リスがいました。リスには小さな雲のようにふわふわした尻尾と、きらきらした目、そして軽やかに動く足がありました。毎朝、リスは木の根元から別の木の根元へ走り回り、どんぐりを拾ったり、松ぼっくりを集めたりして、それらを年老いたオークの木にある秘密の空洞へしまっていました。
茶色リスは、自分のすばしっこさをとても誇りに思っていました。白ウサギやトゲハリネズミ、スズメがまだ道を探してまごまごしている間に、リスはもうずっと前に目的地へ着いていました。みんなで木の実を拾うときも、リスはよく、自分ひとりでやらせてもらえば、もっと早く終わるのにと言っていました。仲間たちは怒りませんでしたが、ときどき顔を見合わせて、黙って微笑みました。
森の真ん中には、ささやき小川という小さな小川がありました。水は透き通っていて、丸い石の間を流れながら、毎日やさしい歌を歌っていました。小川のこちら側には、茶色リスとたくさんの仲間たちが暮らしていました。向こう岸には野生のスモモの木や広い草原、熟したイチゴの茂みがありました。向こうへ行くには、みんなはいつも流れの真ん中にある平たい石を渡っていました。
その年の夏は、いつもより暑い日が続きました。ささやき小川には細い水の流れしか残っていなかったので、行き来するのはとても簡単でした。茶色リスは足元を見る必要もなく、石から石へ一気に飛び移っていました。そして振り返って尻尾を振り、森の誰も自分ほど速く走れないと仲間たちに自慢していました。
突然の雨
ある午後、鳥たちが眠る場所を探し、子どもたちが帰る準備をしていると、灰色の雲が突然現れて空一面を覆いました。風が木々の葉の間を吹き抜け、乾いた葉があたりに舞い散りました。まもなく、雨がザーザーと降り始めました。雨はあまりにも激しく、木の幹まで揺れるほどでした。
茶色リスはシダの茂みの下で雨宿りをし、雨が弱まるのを待ちました。いつものように、すぐに雨はやむだろうと思っていたのです。けれども、その夜も雨は降り続きました。丘から水が流れ下り、ささやき小川へ集まりました。小さな小川は突然、幅が広く、流れも強くなりました。仲間たちが小川を渡るのに使っていた平たい石は水に押し流され、岸の近くに滑りやすい石がいくつか残るだけになりました。
翌朝、白ウサギが小川のそばまで走ってきましたが、悲しそうに引き返しました。水の向こう岸には、ウサギの家族が寒い季節のためにニンジンの束をしまっている草原がありました。トゲハリネズミは、イチゴ畑の近くにいる母親に会いに行きたがっていました。スズメは、弟の巣が小川の向こう岸の木の枝にあるため、心配していました。
みんなは濁った水の流れを見つめて立っていました。茶色リスが前へ出て言いました。「ぼくが飛び越えられるかやってみるよ」。リスは数歩後ろへ下がり、勢いをつけて飛び出しました。しかし、そのときの小川はあまりにも広くなっていました。リスは小さな岩の突起にかろうじて触れただけで、足を滑らせてしまいました。幸い、岸から突き出ていた木の根につかまることができました。白ウサギとトゲハリネズミが急いでリスを引き上げました。
茶色リスは息を切らして座り込み、毛はびしょ濡れでした。初めて、リスは自分のすばしっこい足を誇らしく思えなくなりました。
橋を作るという考え
トゲハリネズミは小川の岸に引っかかっている折れた枝を見て言いました。「飛び越えられないなら、渡る道を作ればいいよ」。スズメは首をかしげて尋ねました。「でも、どうしたら橋が水に流されないの?」
茶色リスはしばらく水の流れを見つめました。そして、森のはずれにある古い木の橋を思い出しました。そこは、年長のシカたちが干し草を運ぶのに使っていた場所です。その橋は、一本の枝だけで作られてはいませんでした。何本もの丸太が並べて置かれ、その下には蔓がしっかりと結びつけられていました。
リスは言いました。「長い枝と蔓、それから橋の表面を覆うための大きな葉っぱがたくさん必要だよ。ぼくが枝を探す」。白ウサギは蔓を集めると言いました。トゲハリネズミは小さな枝を岸まで運ぶ役を引き受けました。スズメとほかの鳥たちは乾いたヤシの葉を探し、下流の小川の近くに住むビーバーのおじさんたちは、橋を置けそうな場所を調べてくれることになりました。
茶色リスはすぐに走り出そうとしましたが、そこで立ち止まりました。もし、それぞれが自分の仕事をしていて、ほかの仲間の進み具合を知らなければ、橋作りは遅くなるばかりか、安全でなくなるかもしれません。そこでリスは、大きな葉っぱを一枚、役割分担表にしました。スズメには小川沿いを飛んで一番狭い場所を探すよう頼み、トゲハリネズミには腐っていない枝を調べるよう頼み、白ウサギには集めた蔓の数を数えてもらいました。
仲間たちは仕事に取りかかりました。茶色リスは一番速く走れるので、あっという間にたくさんの枝を見つけました。ところが、外側はとても丈夫そうな枝が、真ん中でぼろぼろに折れていました。トゲハリネズミが注意深く触って確かめなければ、その枝は橋に置かれていたことでしょう。リスは腐った枝を見つめ、恥ずかしそうに言いました。「たくさん探すことばかり考えて、ちゃんと調べるのを忘れていたよ」
トゲハリネズミは微笑みました。「速いのは良いことだけど、注意深いことも同じくらい大切だよ」。茶色リスはうなずき、それからは何でも急いで運んでくることをやめました。一つ一つの枝を軽く叩き、木の節を調べてから選ぶようになりました。
最初の橋
昼になるころ、仲間たちは必要な材料をすべて集め終えました。ビーバーのおじさんたちは、向かい合う二本の大きな木の根元がある岸の一部分を、みんなに教えてくれました。そこは小川が一番狭く、地面もしっかりしていました。仲間たちは長い丸太を平行に並べ、蔓で木の根元に結びつけました。白ウサギが蔓を引っ張り、トゲハリネズミが結び目を押さえ、茶色リスが材料を正しい場所へ運ぶために行ったり来たりしました。
スズメは丸太を引っ張ることはできませんでしたが、観察するのがとても得意でした。蔓が少しでも緩んでいるのを見つけるたびに、飛んできて仲間たちに知らせました。ほかの鳥たちは乾いたヤシの葉を一枚ずつ運び、橋の表面に置きました。何時間も作業したあと、小川の上に小さな橋が姿を現しました。
茶色リスは一番先に橋へ乗りたがりました。片足を橋に乗せ、続いてもう片方の足を乗せました。橋はギシギシと音を立てましたが、動かずに立っていました。リスが先へ進もうとしたそのとき、強い風が吹き抜けました。ヤシの葉が何枚か舞い上がり、その下の隙間が見えました。リスは慌てて後ずさりました。
「橋はまだ完成していないよ」とスズメが言いました。「葉っぱをもっと結びつけて、みんなが落ちないように低い手すりを作らなくちゃ」。茶色リスは橋を見て、それから仲間たちを見ました。以前のリスなら、自分がすごいことを証明するために、無理に渡ろうとしたかもしれません。でも今回は、こう言いました。「その通りだね。直そう」
みんなはさらにしばらく作業を続けました。トゲハリネズミは短い枝を両側に立て、白ウサギはそれぞれの継ぎ目に蔓を巻きつけ、茶色リスは葉っぱを何層にも重ねて丁寧に並べました。葉っぱが一枚破れると、リスは捨てずに、もっとぴったり合う別の葉っぱを探しました。仲間たちは誰も誰かを急かしませんでした。支える人、結ぶ人、見守る人、それぞれの仕事が橋をより丈夫にするために役立ちました。
流れの中での教訓
夕方になるころ、橋は完成しました。ビーバーのおじさんが最初に試しました。おじさんはゆっくりとこちらの岸から向こう岸へ歩き、橋の真ん中で立ち止まってから、軽く足を踏み鳴らしました。橋はあまり揺れませんでした。そのあと、白ウサギが続き、次にトゲハリネズミが渡りました。スズメは上空を飛びながら、うれしそうに大きな声で歌いました。
茶色リスは、まだ列の最後に立っていました。白ウサギが振り返って尋ねました。「一緒に渡らないの?」
リスは下の水の流れを見て、正直に言いました。「ちょっと怖いんだ。前は、速ければどんなことでも乗り越えられると思っていた。でも昨日、もう少しで小川に流されるところだった」。トゲハリネズミが言いました。「怖いということは、弱いという意味じゃないよ。怖いと知っているから、もっと注意深くなれるんだ」。ビーバーのおじさんも、手すりにつかまり、急がずに一歩ずつ歩けばいいとリスに言いました。
茶色リスは大きく息を吸いました。そして、自分と仲間たちで一緒に作った橋に足を乗せました。一歩、そして二歩。橋は足元でかすかに揺れましたが、手すりはしっかりしていました。リスはすぐに向こう岸を見ようとはしませんでした。ただ次の一歩に集中しました。橋の真ん中まで来ると、下を流れる水の音と、前方から仲間たちが励ます声が聞こえました。
ついに、リスは向こう岸へ渡ることができました。振り返ったリスの目は、喜びで輝いていました。今回の喜びは、自分が速く走れることを自慢したときの感覚とは違っていました。リスは、ひとりで小川を渡ったのではないことがうれしかったのです。仲間たち一人一人が橋に力を貸してくれたことがうれしかったのです。
葉っぱたちからの贈り物
その日から、葉っぱの橋は森全体の共同の通り道になりました。仲間たちは、雨の日に足を拭けるよう、橋の両端に乾いた草の束を置きました。毎朝、スズメが飛び回って蔓を点検しました。トゲハリネズミは枝が緩んでいないか調べました。白ウサギは腐った葉っぱの層を取り替えました。茶色リスは今でも一番速く走れましたが、もう勝手に何でもひとりでやろうとはしませんでした。
小さな仲間が小川を渡ろうとしているのを見ると、リスはいつも隣を歩きながら、「ゆっくりでいいよ。自分の足元を見てね」と声をかけました。怖がっている仲間がいても、リスは笑ったりからかったりしませんでした。自分も水の流れの中で震えたことがあると話し、みんなと一緒に橋を渡ろうと誘いました。
ある朝、また雨が降りましたが、前回ほど激しくはありませんでした。小川の水位が上がり、橋の葉っぱが何枚か押し流されてずれていました。茶色リスはそれに気づくと、すぐに仲間たちを呼びました。誰も、誰かひとりが代わりにやってくれるのを待ちませんでした。それぞれが自分に合った仕事を探しました。まもなく、橋はしっかりと結び直されました。
小川の岸に立ち、茶色リスは重なって並ぶ葉っぱを見つめました。一枚の葉っぱはとても薄く、単独では大したことができません。でも、たくさんの葉っぱが隣り合って置かれ、枝と蔓に支えられれば、水の流れを渡るための道を作ることができます。
リスは微笑み、人生では、いつも一番速い人が一番遠くまで行けるとは限らないのだと理解しました。みんなが耳を傾け、互いに待ち、力を合わせようとするときにだけ開かれる道もあります。その日から、難しいことに出会うたび、茶色リスはもう「ぼくがひとりでやる」とは言わなくなりました。代わりに、こう尋ねるようになりました。「ぼくたちは、どうすれば一緒にこれをできるかな?」
そして、野の花でいっぱいの丘のふもとで、ささやき小川は今も歌い続けています。水の音は小さな仲間たちの笑い声と重なり、枝や蔓や葉っぱ、そして互いに分かち合う友情から作られた橋の物語を、いつまでも語り続けています。


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