小川のほとりで光を蒔く少年
昔々、緑豊かな森の果てに、澄みきった小川のほとりに小さな村がありました。小川は高い山から流れ出し、シダの茂みを抜け、年老いた木々の根元をめぐりながら、村人たちの稲田へ水を運んでいました。昼間、その場所は鳥のさえずりと子どもたちの遊ぶ声で満ちていました。しかし、太陽が沈むと、森はいつも分厚い闇に包まれました。
村の大人たちは、森の闇はずっと昔から存在しているのだと言いました。それがいつ始まったのか知る者は誰もいません。ただ、夜になると、いつも通っている道は歩きにくくなり、動物たちは急いで隠れ場所を探し、子どもたちは家の外へ出ようとしませんでした。森には光を食べる怪物がいる、と言う人もいました。また、地中には昼の最後の光をすべて閉じ込めた巨大な箱があるのだ、と言う人もいました。
ラムは、森のはずれ近くにある、葉で屋根を葺いた家で母親と暮らす少年でした。村でいちばん体が丈夫なわけでもなく、鳥を射るためのぱちんこが特別上手なわけでも、友だちのように速く走れるわけでもありませんでした。でも、ラムには特別なところがありました。ほかの人が見過ごしがちな小さなことに、いつも気づいていたのです。水を欲しがっている一枚の葉、泥だまりにはまった一匹のアリ、家の軒先に座るおばあさんのため息などです。
ある晩、ラムが母親の手伝いをして薪を積んでいると、小川の岸辺に淡い黄色の光が見えました。あまりにも小さかったので、注意して見なければ、月明かりを反射した露のしずくだと思ったかもしれません。ラムが身をかがめると、それは透明な丸い種で、中では小さなろうそくの火のような光が揺らめいていました。
ラムはその光る種を目の近くまで持ち上げました。するとすぐに、とてもかすかな声が聞こえました。
どうか、私を自分だけのものにしないでください。
ラムは驚いて周りを見回しました。小川の岸辺には誰もおらず、風に揺れる草むらがあるだけでした。
今、誰が話したの?
ラムの手の中で、光る種がかすかに震えました。
私は光の種です。森全体を明るくすることはできません。でも、優しい心のある場所に蒔かれれば、芽を出すことができます。
ラムは、これほど不思議な話を聞いたことがありませんでした。彼は、鍛冶屋のおじさんの真っ暗な家のことを考えました。夜になると道に迷ってしまう鹿の群れのことや、互いの家へ遊びに行くこともできない小さな友だちのことも考えました。母親と二人で暮らす部屋もいつも暗かったので、光る種を家へ持ち帰ってベッドのそばに置きたいと思いました。けれども、光る種の言葉を聞いて、彼はためらいました。
これを自分だけのものにすれば、部屋は少し明るくなるかもしれない。でも、森は暗いままだ。
翌朝、ラムは母親にその話をしました。母親は笑い飛ばしもしなければ、すぐに信じようともしませんでした。ただ、息子の手のひらに置かれた光る種を見つめて、こう言いました。
本当に芽を出すのか知りたいなら、いちばん光を必要としている場所へ持っていきなさい。
ラムは、小川に沿って歩き、そのような場所を探すことにしました。光る種を布の袋に入れ、トウモロコシのパンを少し持って出発しました。出かける前に、母親は森の奥深くまで行ってはいけないこと、そして空がすっかり暗くなる前に帰ってくることを言い聞かせました。
光を必要としている場所
しばらく歩くと、ラムは木の根元に座っているリスに出会いました。リスはドングリを抱えていましたが、食べようとはしませんでした。理由を尋ねると、今年の秋は強い風で巣へ戻る道しるべがすべて落ちてしまい、何度も周りを回ったのに、幼いきょうだいたちを見つけられないのだと、悲しそうに答えました。
ラムは袋を開け、光る種を取り出しました。種の光が木の幹を照らすと、樹皮に小さなひっかき傷がいくつも現れました。ラムは、リスたちがその傷で道しるべをつけていたのだと気づきました。彼はリスと一緒に、一つひとつの印をたどり、とうとう巣へ続く大きな枝を見つけました。
リスがきょうだいたちと再会すると、ラムの手の中の光る種が急に温かくなりました。種の表面には細いひびが現れ、それはまるで、植物の芽が外へ出る道を探しているようでした。
ラムは歩き続けました。山のふもと近くまで来ると、細い道の真ん中に年老いたカメが横たわっていました。カメはけがをしていませんでしたが、その前には、昨夜の雨でできた大きな泥だまりがありました。カメは何度も渡ろうとしましたが、そのたびに滑り落ちてしまいました。動きが遅いので、暗くなる前に渡れなければ、冷たい屋外で夜を過ごすことになると心配していました。
ラムは乾いた枝を探し、小さな橋になるよう泥だまりの上に並べました。橋はきれいでもなければ、それほど頑丈でもありませんでしたが、カメが向こう岸へ這って渡るには十分でした。カメが硬い地面に足を乗せたとき、光る種は再び柔らかな光の輪を放ちました。種のひびはさらに広がり、そこから透明な小さな芽が顔を出しました。
夕方になると、ラムは葦の茂みの後ろから泣き声が聞こえるのに気づきました。巣から落ちたひな鳥で、翼がまだ弱く、飛び上がることができませんでした。ラムは低い木の幹をよじ登り、柔らかな草の繊維でできた巣にひな鳥を戻しました。母鳥はその周りを飛びながら、うれしそうに鳴きました。その瞬間、光る種の中の芽が少し大きくなりました。
ラムは少しずつ理解し始めました。光の種は、並外れた行いによって大きくなるのではありません。心から行われた一つひとつの善い行いによって、大きくなるのです。
森の中の闇
ラムが帰るころには、空は濃い紫色に変わっていました。彼は小川沿いの道を進みましたが、歩けば歩くほど、周囲の光は弱くなっていきました。高い木々が空をすっかり覆っていました。木の葉の間をそよぐ風の音は、誰かがささやいているように聞こえました。
突然、二本の木の間から大きな黒い影が這い出してきました。目もなく、はっきりした口もありません。ただ、煙のように渦巻く濃い闇の塊でした。ラムは後ずさりし、光る種をぎゅっと握りしめました。
おまえが何を持っているか、私は知っている。黒い影が言いました。それを私に渡せば、安全に帰してやろう。
ラムは怖くて、両膝が震えるほどでした。村の人々が話していた、光を食べる怪物のことを思い出しました。目の前にいるのは、もしかするとその怪物かもしれません。それでもラムは、リスやカメやひな鳥のことを考えました。そして母親の言葉も思い出しました。光をいちばん必要としている場所へ持っていきなさい。
光る種をどうするつもりなの?
黒い影は長いあいだ黙り、それから答えました。
すべてのものを、私と同じように暗くしたい。
ラムはよく見ました。黒い影は襲いかかってきたのではありません。ただ木々の間で小さく縮こまり、震えていました。恐ろしい姿をしていましたが、怪物というより、孤独な者のように見えました。
ラムは勇気を振り絞って尋ねました。
どうして光が怖いの?
私は光が怖いのではない。ただ、誰かに光を分けてもらったことが一度もないのだ。
ラムには、何と答えればよいのかわかりませんでした。母親が仕事で忙しいとき、窓辺に一人で座っていたときのことを思い出しました。目の前の黒い影ほど怖くはありませんでしたが、それでも心が悲しくなるには十分な感覚でした。ラムは二人の間の地面に光る種を置きました。
すべてを自分と同じように暗くしたくないのなら、一緒にこの種を育てよう。
黒い影は後ずさりました。
光の世話なんて、どうすればいいのかわからない。
僕もわからないよ。一緒に学べばいい。
ラムは両手で木の根元の土を掘り、小さなくぼみを作りました。黒い影は最初、ただ見ているだけでしたが、やがてゆっくりと煙の帯を伸ばし、石を脇へ押しのけました。ラムは光る種を土の中に置き、柔らかな土を上からかぶせ、それから小川の水をすくって注ぎました。
すぐに奇跡が起こったわけではありません。森は相変わらず暗く、風は吹き続け、ラムは夜になる前に帰れるかどうかさえ、まだわかりませんでした。それでも、土の下で細い光が動き始めました。
光が分け与えられたとき
その夜、ラムと黒い影は木の根元に座り、待ち続けました。ラムは小さな村のこと、いつも息子においしいほうのパンを分けてくれる母親のこと、貧しい家のためなら壊れた鍬を無料で直してくれる鍛冶屋のおじさんのことを話しました。黒い影は長いあいだ耳を傾け、それから、自分は人々が理解できないものを恐れ始めたころから森に存在していたのだと話しました。誰かが逃げるたびに、影はますます大きくなりました。誰かに怪物と呼ばれるたびに、ますます暗くなりました。
ラムは、黒い影が初めから誰かを傷つけるために生まれたのではないと気づきました。それは、見捨てられる恐怖と、確かめられることのないうわさから大きくなったのです。
明け方近く、土の中から芽が伸び上がりました。芽の先には透明な花が咲き、柔らかな黄色い光を放ちました。光は目を刺すほど強くはありませんでしたが、木の根元の周りの道を照らすには十分でした。近くにいた黒い影は、突然薄くなりました。煙の層の内側に、ラムは優しい目と細い手を持つ小さな生き物の姿を見ました。
その生き物が手を伸ばして花に触れると、一枚の花びらが手のひらに落ちました。光はすぐに指先に沿って広がり、やがて森中を飛び回る小さな光の粒となりました。
一つひとつの光の粒は、それを必要としている場所へ向かいました。一つはリスの巣へ飛び、一つは鹿の群れの道を照らし、一つは鍛冶屋のおじさんの木の橋のそばにとどまりました。そのほかの光の粒は村へ降りていき、家々の軒先や小川沿いの道を明るくしました。
村人たちは目を覚まし、それまで暗かった森が、まるで星でいっぱいの空のようにきらめいているのを驚いて見つめました。彼らは皆でラムを探しに出かけました。ラムがあの小さな生き物と一緒に木の根元に立っているのを見つけたとき、人々は最初、後ずさりしました。しかしラムは、起こったことをすべて彼らに話しました。
最初に歩み寄ったのは鍛冶屋のおじさんでした。おじさんは薪の束を下ろし、小さな生き物を見て言いました。
私たちは、おまえが何者なのか一度も尋ねなかったから、怪物と呼んでしまった。
野菜を売るおばあさんは、温かいパンを持ってきました。村の小さな子どもが近づき、仲良くなろうと手を差し出しました。小さな生き物は皆を見つめ、その目はまるで火が灯っているかのようにきらきらと輝きました。
その日から、森が完全な闇に包まれることは二度とありませんでした。村人たちは小川沿いに、光の花を一緒に植えました。誰かが親切な行いをするたびに、新しい花が一輪咲きました。その花が本当に優しさから育つのかどうか、知る者はいませんでした。それでも皆、互いを思いやるたびに森が明るくなることに気づいていました。
成長していく心への小さな教訓
あの旅の後も、ラムは村でいちばん強い人になったわけではありません。暗い道は今でも怖く、ときには母親に手を握ってもらうこともありました。でも、勇気とは恐れを知らないことではないと理解しました。怖くても、正しいことをしようと努め、人の外見だけでその人について早まった判断をしないことが、勇気なのです。
この物語はまた、素晴らしいことはたいてい、とても小さな行いから始まるのだと教えてくれます。誰かが道を見つけるのを手伝うこと、動物を泥だまりの向こうへ渡らせること、悲しみに耳を傾けること、自分のパンを分けること。そのどれもが、一筋の光になるかもしれません。光は分け与えても失われず、さらに広がっていく可能性を得るのです。
子どもたちにとって、この教訓はとても身近なものです。悲しんでいる人に出会ったら、声をかけることができます。友だちが困っているのを見たら、自分にできる範囲で助けることができます。怖いうわさを聞いたら、すぐに恐れたり、他の人まで怖がらせたりするのではなく、落ち着いて確かめることができます。親切な行いは一つひとつ、種のようなものです。今日、花が見えなくても、善いことは静かに芽を出し続けています。
そして、もしかすると、どこかの森では今も光の花が咲いているかもしれません。分かち合うことを知る手、耳を傾けることを知る心、そして、すべての闇が敵なのではないと気づけるほど優しい少年や少女を、花たちは待っているのです。


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