小さな村のはずれには、田んぼを通り抜ける曲がりくねった道があった。村の家々は、朝になるといつも明るく輝いた。陽の光がヤシの木の列の間から差し込み、庭に金色の筋となって落ちるのだ。村の大人たちは、あの場所にはいちばん美しい晴れの日があると言っていた。丘の向こうには、いつもみんなより先に目を覚ます、穏やかな太陽があるからだ。
池のほとりに建つ瓦屋根の家に、ティーという男の子が母親と祖母と一緒に暮らしていた。ティーは、澄みきった朝が大好きだった。いつも庭に駆け出し、両手を広げて陽の光を受け止めながら、大きな声で呼びかけた。
「お日さま、ぼくと遊んでいってよ!」
けれど、ティーにはほとんど誰も知らない心配事があった。雨の日が怖かったのだ。黒い雲がやって来ると、庭は冷たく濡れ、道はぬかるみ、瓦屋根に激しく降り注ぐ雨音を聞いて、ティーは毛布の中で丸くなりたくなった。雨の日は、いちばん悲しい日だと思っていた。凧を揚げることも、野原へ蝶を見に行くことも、ガジュマルの木の下で友達と遊ぶこともできないからだ。
黄色い木の箱
夏の終わりのある午後、祖母は古い長持ちのそばにティーを呼んだ。祖母はそこから小さな木の箱を取り出した。箱のふたには、光線が円形に広がる模様が彫られていた。その箱は、ティーの両手にすっぽり収まるほどの大きさだった。
「これは、おばあちゃんがまだ子どもだった頃から大切に持っていた贈り物だよ」と祖母は言った。「この箱の中には、ひとつの陽だまりの種が入っている。陽だまりの種は、喜びを大切にできる子どもの前にしか現れないんだよ」
ティーは目を大きく見開いた。中には本当に、金色に輝く小さな種が入っていた。まぶしいほどではないが、穏やかな火のような温かい光を放っている。ティーが箱を傾けるたびに、陽だまりの種はころりと転がり、とても小さな音で、ちりんと鳴った。
「陽だまりの種は、何に使うの、おばあちゃん?」
「雨の日が来たら、箱を開けて、少しの温かさを取っておくことができるよ。でも、これだけは覚えておきなさい。陽だまりの種は、誰かと分け合ったときにだけ、もっと明るく輝くんだよ」
ティーは箱を胸に抱いた。彼は、箱をとても大切にしまって、雨が本当に激しく降るときだけ開けようと思った。大事にしておけば、いつでも自分だけの小さな陽だまりを持っていられるのだ。
最初の雨の日
三日後、灰色の雲が空一面を覆った。風が竹やぶを吹き抜け、葉と葉が触れ合ってざわざわと音を立てた。そして、雨が一気に降り始めた。軒先には水が流れ、池の水面には無数の小さな輪が広がった。
ティーは急いで部屋に入り、戸棚から木の箱を取り出した。ふたを少し開けると、陽だまりの種はすぐに明るく輝き、部屋の暗さを和らげた。金色の光は、毛布の上にも、本棚にも、そしてティーの濡れた下駄にも落ちた。
ティーは微笑んだ。そばに陽だまりの種があれば、雨の日もそれほど怖くない。
そのとき、外から呼ぶ声が聞こえた。近所に住む女の子、ナーだった。ナーは軒下に立っていたが、髪も肩もすっかりずぶ濡れだった。ナーの母親は足を痛め、弟は熱を出していた。ナーは村のおばあさんの薬師の家へ薬草をもらいに行きたかったが、前の道はすでに水につかっていた。
「ティー、途中まで一緒に来てくれない?」とナーは尋ねた。「ちょっと怖いの」
ティーは手の中の箱を見つめた。自分も雨が怖かったが、陽だまりの種をそばに置かずに外へ出ることは、それ以上に怖かった。断ろうとしたそのとき、ティーは祖母の言葉を思い出した。陽だまりの種は、分け合ったときにだけ、もっと明るく輝くのだ。
ティーはナーにタオルを渡し、それから木の箱を注意深く上着のポケットに入れた。
「わかった。一緒に行くよ」
二人の子どもは一枚の大きな雨合羽を一緒にかぶり、水につかった道をゆっくり歩いた。ティーはポケットの中から、ちりん、ちりんという音を聞いた。不安になるたびに、陽だまりの種が布越しに温かさを伝えてきた。そのおかげで、ティーは勇気を出して歩き続けることができた。薬師のおばあさんの家に着くと、ナーは必要な薬草をひとつかみ受け取った。帰り道には、ナーはもう、最初のように震えていなかった。
家に戻ると、ナーはティーの上着のポケットを見て尋ねた。
「中に何が入っているの? そんなに明るく光っているけど」
ティーが箱を開けると、穏やかな金色の光が小さな部屋いっぱいに広がった。ナーは驚いた。そしてティーは、陽だまりの種が、ふたを開けたばかりのときよりもずっと明るく輝いていることに気づいた。
村を照らしていく光
その日から、ティーは雨が降るたびに、周りの人たちに目を向けるようになった。大工のおじさんは、風で窓が閉ざされてしまったため、暗い作業場で仕事をしなければならなかった。ティーは陽だまりの種を作業台に置き、おじさんが木の板に描いた線をはっきり見られるようにした。
また、七おじさんの家の犬、ベンが、犬小屋の屋根から雨漏りしていたため、橋の下で身を寄せて震えているのを見つけた。ティーは友達と一緒にヤシの葉を集め、犬小屋の屋根を葺き直した。上着のポケットの中で陽だまりの種が温かくなり、ベンは震えるのをやめて、嬉しそうにしっぽを振った。
学校の軒下では、マậnが水たまりにかばんを落として泣いていた。ティーは友達を誘って教科書やノートを拾い、一枚一枚の紙を軒下で乾かした。陽だまりの種が本をすぐに乾かしてくれたわけではない。それでも、その光のおかげで、マậnはまた微笑むことができた。
誰かを助けるたびに、ティーは箱が少し軽くなり、中の陽だまりの種が少し明るくなるのを感じた。その光は、決して目をくらませることがなかった。まるで静かな励ましの言葉のように、人々に、困難な一日を自分一人で向き合わなくてもよいのだと感じさせた。
やがて、村の誰もがティーの不思議な箱のことを知るようになった。興味を持って借りたがる人もいれば、必要なときのために大切にしまっておくべきだと勧める人もいた。けれど、ティーはもう陽だまりの種を隠しておきたいとは思わなかった。光を分け与えれば分け与えるほど、自分のもとにたくさんの喜びが返ってくると気づいたからだ。
丘を襲った大雨
ある夜、雨はいつもより激しく降った。風が竹やぶの間をうなりながら通り抜け、空には雷鳴が響いた。丘の上の小川の水位が急速に上がり、田んぼへとあふれ出した。村の大人たちは急いで声を掛け合い、幼い子どもたちと家畜をいちばん高い場所にある家へ避難させた。
ティーは母親と祖母と一緒にいたが、丘へ続く道のほうから泣き声が聞こえてきた。それは、ナーの妹のボンの声だった。木の橋が流されて途中で途切れてしまい、ボンはアヒル小屋に取り残されていた。
「どこへも行ってはいけないよ」と、ティーの母親は彼の肩をつかんだ。「雨がひどすぎる。とても危険だわ」
ティーは雨の幕の向こうを見た。母親の言うことが正しいのはわかっていた。それでも、遠くではボンが泣き続けていた。何人かの大人たちは縄を探していたが、アヒル小屋へ続く道は刻一刻と深く水につかっていた。
祖母がティーの肩に手を置いた。
「怖いと思うのは普通のことだよ。勇気があるというのは、怖くないという意味ではない。心の中に怖さが残っていても、正しいことをするという意味なんだよ」
ティーは木の箱を取り出した。陽だまりの種はまばゆく輝き、軒先から続く道をはっきり照らした。ティー一人でボンを助けることはできない。でも、雨の夜にみんながお互いの姿を見つけられるようにすることはできる。ティーは母親と一緒に箱を村の大人たちのところへ運んだ。金色の光が、縄や竹の杭、そして増え続ける水面に反射した。
みんなはすぐに、大きなガジュマルの木の根元からアヒル小屋まで、長い縄を張った。大工のおじさんが先頭に立ち、ほかの大人たちが続いて縄を支えた。ティーは岸辺に立ち、道を照らすために箱を高く掲げた。ナーは妹に、落ち着くよう大声で呼びかけた。ついに、ボンは無事にアヒル小屋から連れ出された。
村人たちが高い場所にある家へ戻る頃には、雨も弱まり始めていた。ティーは箱を開けて中を見た。陽だまりの種は、もう小さな光の粒ではなかった。雨上がりの朝のように、丸く満ち、温かく輝いていた。
独り占めできない贈り物
翌朝、雲は少しずつ消えていった。田んぼにはまだ大きな水たまりが残っていたが、空は再び青くなっていた。村人たちは力を合わせて橋を直し、泥を片づけ、倒れた柵を立て直した。みんな忙しく働いていたが、互いに呼びかける声はずっと明るくなっていた。
ティーは箱を祖母のところへ持っていった。
「おばあちゃん、陽だまりの種が大きくなったよ」
祖母は微笑んだ。
「陽だまりの種が大きくなったんじゃないよ。おまえの優しい心が、その中の光を広げたんだ」
ティーは長い間考えた。以前の彼は、喜びはしっかり握っておかなければならないものだと思っていた。分け与えたら、自分の分が少なくなってしまうと考えていたのだ。けれど、この数日間は、その反対を教えてくれた。誰かに向けた微笑みは、その人を嬉しくする。そして、その喜びは、お礼の言葉や差し伸べられた助けの手、あるいは胸の中の温かな感覚となって、自分のもとへ戻ってくるのだ。
それから、ティーは以前のように雨の日を怖がらなくなった。今でも陽の光は好きだし、乾いた道を走ったり、野原で凧を揚げたりするのも好きだった。でも、雨にも役に立つところがあると理解した。雨は草木をより青々と茂らせ、池や湖を満たし、人々に互いを気にかけることを思い出させてくれる。空が暗くなるのは、光を奪うためではなく、みんなで心の中に光を灯すためなのかもしれない。
木の箱は、窓のそばの棚に置かれたままだった。ティーはもう、それを戸棚の中にしまわなかった。誰かが悲しんでいたり、不安を抱えていたり、寄り添ってくれる人を必要としていたりすると、いつでも箱のふたを開けた。陽だまりの種は、穏やかで優しい光を放った。それは、一歩の足元と、差し出された手と、一緒に歩く人々のいる道を照らすのに十分な光だった。
そして不思議なことに、ティーが喜びを分け合うことを覚えてからというもの、屋根に雨粒が降り続いているときでさえ、小さな村にはたくさんの晴れの日が増えたように感じられた。
子どもたちへの教訓
喜びは、誰かと分かち合っても減ることはありません。励ましの言葉や、ささやかな助け、あるいは誰かが不安なときにそばにいてあげることは、心を温める「陽だまりの種」になります。人を思いやることを知れば、私たちはもっと強く、そしてもっと楽しい気持ちになれるのです。


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