川の船着き場へと下る坂の終わりに、茶色い瓦屋根の小さな家がある。玄関先には色あせたブリキの郵便受けがあり、その隣には古い革かばんが掛けられている。もう誰もその界隈に郵便配達人を雇っていないというのに、かばんはいつもきれいに磨かれていた。そこに住んでいるのはラムさんという男だった。かつては郵便配達の仕事をしていたが、何年も前に退職していた。それでも毎朝、淡い青色のシャツを着て、かばんを肩に掛け、ゆっくりと坂を端から端まで歩いていく。
近所の人々はその姿にすっかり慣れてしまい、もう誰も彼がどこへ行くのか尋ねなかった。ただ、彼がいつも、固く閉ざされた扉のある家の前で立ち止まり、人気のない庭をしばらく見つめてから、また歩き出すことを知っていた。ある日は川の船着き場近くのインドアーモンドの木の根元に、夕方まで座っていることもあった。ある日は、まるでたくさんの手紙を受け取ってきたかのように、膨らんだかばんを携えて帰ってくることもあった。
実のところ、その手紙には宛先がなかった。
受取人のいない手紙
ラムさんは夜に手紙を書いた。青いインクで、罫線のない白い紙に書いた。どの手紙も簡素な挨拶で始まり、最後は「いつか、これがあなたのもとに届きますように」という言葉で終わった。その後、彼は手紙を折りたたんで封筒に入れたが、受取人の名前も番地も書かず、切手も貼らなかった。
亡くなった父親に宛てた手紙もあった。口論の末に家を出ていった娘に宛てた手紙もあった。十年間も誤解し続けていた隣人に宛てた手紙もあった。また、誰に宛てたものなのかもはっきりしない手紙もあった。ただ、グレープフルーツの花の香りがするある朝のことや、戸口の段差で日なたぼっこをする猫のこと、垣根の向こうから響いてくる子どもたちの笑い声などが綴られていた。
彼は返事を待つために書いていたのではない。胸の中にしまい続けていれば重荷になってしまうのに、直接口にすれば相手を傷つけてしまうかもしれないことがある。彼は、そのような思いを抱えていたから書いたのだ。宛先のない手紙は、まるで水面に一枚の葉をそっと置くように、心の中の思いを静かに下ろすための方法になった。
ある日、アンという少女が向かいの家で祖母と暮らすために引っ越してきた。アンは十二歳で、口数が少なく、いつも黄色いノートを持ち歩いていた。彼女はよく縁側の段差に座り、ラムさんが坂を歩いていくのを眺めていた。初めのうち、彼はただ会釈するだけだった。やがて立ち止まり、何を描いているのか尋ねるようになった。アンは、いつ行けるのかまだ分からないけれど、自分が行ってみたい場所を描いているのだと答えた。
「君は手紙を書いたことがあるかい?」と彼は尋ねた。
「書く相手がいないの」
ラムさんは、人は自分自身に手紙を書くこともできるのだとは言わなかった。ただ、かばんの中から空の封筒を一つ取り出してアンに渡し、こう言った。「いつか、言いたいことがあるのに誰に話せばいいのか分からない日が来たら、ここに書くといい」
幾年もの時を越えて届く謝罪
数週間後、アンはラムさんが坂の上にある廃屋の前に立っているのを見かけた。その家にはいつも鉄の門が閉ざされ、ブーゲンビリアの棚の半分以上が枯れていた。彼は一通の封筒を窓台に置き、長い間じっと立っていた。立ち去ろうと振り返ったとき、アンが自分を見ていることに気づいた。
「この家にも手紙を受け取る人がいるの?」
「いないかもしれないね」
「それなら、どうして届けるの?」
ラムさんは傘の柄に手を置き、陽光の下できらめく川のほうを見つめた。「時には、聞く人が耳を傾ける準備ができる前に、書く人が先に謝らなければならないことがあるからだ。今日送らなければ、明日はもっと送りにくくなるかもしれない」
それから彼は、かつてその家に住んでいたバックさんのことをアンに話した。二人は幼い頃からの友人だった。ともに郵便局で働き、増水の季節も、界隈が変わっていった年月も一緒に過ごした。だが、紛失した一通の手紙をめぐる誤解が原因で、二人は友情を断ち切ってしまった。ラムさんは、バックさんが自分の大切な手紙をわざと隠したのだと信じていた。一方、バックさんは、ラムさんが責任を逃れるために自分へ責任を押しつけたのだと思っていた。
何年も後、古い郵便局が倉庫を改修したとき、人々は木製の棚の後ろに一通の手紙を見つけた。その手紙は、受取人が引っ越してしまったため、一度も送られていなかった。封筒には、死の床にある身内の人の筆跡が残されていた。しかし、二人とも、何かをやり直すにはあまりにも遅すぎた。
ラムさんが謝罪の言葉を口にする前に、バックさんは界隈を去ってしまった。彼がどこへ行ったのか、誰も知らなかった。それ以来、ラムさんは毎年、旧友が去った日に一通の手紙を書き、廃屋の前に置いた。誰にも読まれないかもしれないことは分かっていた。それでもその行為は、二人の間に自尊心が立ちはだかったからといって、友情まで終わらせてはいけないのだと彼に思い出させてくれた。
話を聞き終えたアンは、それ以上尋ねなかった。その夜、彼女は黄色いノートを開いて、一通の手紙を書いた。遠い町で働いている母親に宛てた手紙だった。新しい家にも慣れたこと、自分で髪を結べるようになったこと、トタン屋根を打つ雨音をもう怖がらなくなったことを書いた。手紙の最後には、母が心配しないようにしたいけれど、母が恋しいと書いた。
翌朝、彼女はその手紙をラムさんに渡した。
「この手紙には住所があるの」とアンは言った。「郵送してくれる?」
ラムさんは両手で手紙を受け取った。なぜアンが自分で送らないのかは尋ねなかった。ただ、その日の午後に郡の郵便局へ持っていくと告げた。何年ぶりかで、彼の古い革かばんには、はっきりとした受取人のいる手紙が入った。
ひと言のあとに残るもの
その日から、アンはラムさんと一緒に坂を端まで歩くようになった。彼女はいくつかの封筒を持ち、彼は革かばんを持った。二人はいつも話をしていたわけではない。庭を掃くほうきの音や、道の上を転がる自転車の音、木々の枝葉の間で呼び交わす鳥の声だけを聞いて過ごす朝もあった。
やがて、界隈の何人かが宛先のない手紙のことを知った。ある老婆は、自分の世話をしてくれた息子に送る感謝の言葉を書くのを手伝ってほしいと頼んだ。ある男性は、妹に宛てて書きかけた封筒を持ってきたが、まだ勇気が足りないと言って持ち帰った。ある若い女性は、郵便受けに「もう一度始めたい」という四つの言葉だけが書かれた紙片を入れた。
ラムさんは、その手紙が誰に宛てられたものなのかを決して尋ねなかった。また、人に許せ、忘れろ、すぐに仲直りしろと助言することもなかった。ただ、心の中に引っかかったままのものを置いておける場所を、彼らに与えた。書き終えたあと、自分はもう落ち着いて直接話せるのだと気づく人もいた。本当に手紙を送る人もいた。自分の感情に対して、かつて正直であったという証として、手紙を手元に残す人もいた。
アンは次第に理解していった。手紙を書くのは、いつも他人を変えるためではない。多くの場合、書くことは自分自身をはっきり見つめる方法なのだ。怒りの言葉が紙の上に置かれると、その力は突然、いくらか失われる。恋しさに正しい名前をつけると、それは以前のように曖昧ではなくなる。謝罪の言葉を書き出すと、自分が正さなければならないのは一つの言葉だけではなく、他人に接してきた自分のあり方全体なのかもしれないと、人は気づき始める。
雨季の終わり、アンの母親が帰ってきた。母親は娘が送った手紙を手にし、道中の車内で何度も読み返した。離れていた日々について、母娘はすぐには話さなかった。二人で夕食を作り、衣服をたたみ、それから軒下に座って雨の音を聞いた。その夜、アンはラムさんと宛先のない手紙について母親に話した。
母親は尋ねた。「その人は返事を受け取ったことがあるの?」
アンは、黄色い明かりの下で光っている坂を見下ろした。「たぶん、返事は必要ないんだと思う。自分が言うべきことを言えたと分かるだけでいい人もいるのよ」
坂は今もそこにある
何年もの月日が流れ、坂は平らな石の敷かれた道に造り直された。ラムさんの家には、今も古い郵便受けが残っている。革かばんの肩ひもだけがさらに擦り切れ、彼の歩みは以前より遅くなっていた。アンは成長し、学ぶために界隈を離れた後、川の船着き場近くの小さな図書館で働くために戻ってきた。
時折、彼女は今でもラムさんと一緒に坂の終わりまで歩いた。彼女は新しい封筒を持ち、彼は静まり返った扉の前で立ち止まる習慣を持ち続けていた。ある夕方、アンは彼に、最後の手紙を書くつもりがあるのかと尋ねた。
ラムさんは笑い、郵便配達人は旅がいつ終わるのかを自分で決めるべきではないのだと言った。心の中に、まだ丁寧に語られていないことが一つでもある限り、ペンを取る理由は残っているのだと。
それから彼は、象牙色の封筒を取り出した。今回は、封筒に名前と住所がとてもはっきりと書かれていた。受取人はアンだった。
彼が数歩歩いたところで、アンは手紙を開いた。中には短い一節だけがあった。「君が、遠くのどこかへ届く必要のない手紙もあるのだと、思い出させてくれてありがとう。それらはただ、人を自分の心に少し近づけて帰らせればいいのだ」
アンは手紙を折りたたみ、坂の上に伸びる彼の影を見つめた。彼女は礼を言うために追いかけなかった。しばらく胸の中に留めておくべき言葉もあり、それが静かに落ち着いて、より真摯なものになるのを待つ必要があると知っていた。
その日の夕方、彼女は図書館に戻り、一枚の白い紙を取り出して、自分自身に宛てた最初の手紙を書いた。恐れていたこと、自分を傷つけた人々、声を上げるべきだったのに黙っていた数々の場面について書いた。手紙の最後で、彼女はすべてを忘れるとは約束しなかった。ただ、これからの日々をどう生きるかを、過去の出来事に完全に決めさせはしないと約束した。
坂の終わりでは、ラムさんが今も革かばんを肩に掛けて歩いている。彼の後ろには家々や並木、そして語り尽くされていない無数の物語がある。この世では、すべての言葉が耳を傾けてくれる正しい相手を見つけられるわけではない。それでも、真摯に語られた言葉は、それを書いた人を変えることがある。そして時には、そこが、あらゆる帰還の最初の場所になるのだ。


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