小さな種と分かち合う庭

小さな村のはずれに、かつて一年中、青々としていた庭がありました。庭では、フェンスのそばでキクの花が黄色く咲き、ミントの茂みが清々しい香りを漂わせ、年老いたイチジクの木が、鳥たちに日よけを与える傘のように大きな枝を広げていました。毎朝、チョウが花壇の上を舞い、ミツバチが蜜を探してブンブン飛び回り、子ウサギたちが草の縁をぴょんぴょん跳ねていました。

ところが、とても長い夏がやって来ました。太陽は毎日、焼けつくような光を庭に注ぎました。庭のそばを流れていた小川は少しずつ干上がり、地面にはいくつもの曲がりくねったひびが入りました。緑の葉は黄色に変わり、キクの花は何枚かの花びらをわずかに開かせただけで、渇きにうなだれてしまいました。

庭師さんは毎日、遠くの井戸から水を入れた二つの桶を一組ずつ運び、植物に水をやろうと懸命に頑張りました。しかし、井戸の水ももうあまり残っていませんでした。庭師さんは、一つ一つの植物の畝に、ひしゃく一杯分の水をほんの少しずつ分けなければなりませんでした。ある日などは、野菜の畝と年老いたイチジクの木の根元に水をやるだけで精いっぱいでした。花の茂みは、日差しの下で自分たちで耐えなければなりませんでした。

木の棚の上に置かれた古い布袋の中に、茶色い小さな種が一粒ありました。その種は、豆の種やカボチャの種、ヒマワリの種と並んで、そこに長い間置かれていました。小さな種はいつも、仲間たちが外の庭について話すのを聞き、いつか土の中に入りたいと願っていました。

「ぼくは、とても大きな木になりたい」と、小さな種はひとりごとを言いました。「葉っぱも、花も、たくさんつけて、みんなに見てもらうんだ」

ある午後、庭師さんが種を探すために布袋を開けたとき、小さな種は地面に落ちました。戸の隙間から一陣の風が吹き込み、種を転がして、階段のところまで運んでいきました。そこから種は、枯れかけている庭を目にしました。うなだれる花々や、疲れたように飛ぶミツバチの群れ、そして葉っぱに残ったわずかな露をなめなければならない子ウサギの姿が見えました。

「土にまいてもらえたら、ぼくはとても早く大きくならなくちゃ」と、小さな種は心に決めました。「高く伸びて太陽の光を受け、誰にもぼくを馬鹿にさせないぞ」

そのとき、一匹の黒アリが通りかかりました。黒アリは階段のそばに横たわる小さな種を見つけて、尋ねました。

「私たちが土の中へ運んであげようか?」

小さな種は、少し誇らしげに答えました。

「大丈夫。ぼくが一番いい場所を自分で探すよ。ありふれた場所で育つのは嫌なんだ」

アリは怒りませんでした。ただうなずくと、群れのみんなのために食べ物を探し続けました。小さな種はさらにもう一度転がり、年老いたイチジクの木が落とすわずかな日陰のある、小さな土の裂け目のそばで止まりました。種は、ここならかなりよさそうだと思いました。別の風が吹いて自分を土の中へ押し込んでくれるのを待ちましたが、風は種を横へ転がしただけで、種は枯れ葉に引っかかってしまいました。

その夜、突然、短い雨が降りました。雨は屋根をぱらぱらと打ち、階段を滑り落ちて、小さな流れになりました。小さな種は水に流され、イチジクの木の根元にある土のくぼみに落ちました。柔らかな泥が種の体を覆いました。初めて、種は土の中のひんやりとした心地よさを感じました。

「きっと、今が始まりなんだ」と、小さな種は喜びながら思いました。

種は芽を出そうと懸命に頑張りました。小さな白い根を下へ押し伸ばし、上へ緑の芽をのぞかせました。しかし、雨のあと、太陽が再び現れました。土はすぐに乾いて硬くなりました。小さな根は十分な水を見つけられず、緑の芽は日差しにさらされてしおれてしまいました。

小さな種は不安になりました。水を呼ぼうとしましたが、その声はあまりにも小さすぎました。上へ伸びようとしましたが、茎はまだ弱々しいものでした。その日一日、種に聞こえたのは、木の葉がさらさらと揺れる音と、暑さにため息をつく動物たちの声だけでした。

次の朝、芽のそばに透き通った一滴の水が落ちてきました。その水滴は、露がたまったあと、年老いたイチジクの葉から落ちてきたものでした。芽は少しずつ水を吸収し、どうにかまっすぐ立ち上がりました。

「ありがとう、おじさん」と、芽は言いました。

「わしは大したことはしておらんよ」と、イチジクの木はゆっくりした声で答えました。「一滴の水でも、ちょうどよい時に届けば、命が生き続ける助けになるのだ」

芽はその言葉を心に刻みました。そして、少しずつ成長し始めました。毎日、イチジクの木は芽に当たる日差しを和らげました。アリの群れは、ときどき小さな土の粒を運んできて、根元に寄せました。子ウサギは足で小さな溝を掘り、庭師さんが水をやったときに、その水が芽の近くまで流れてくるようにしました。

芽はみんなにとても感謝していました。しかし、心の中にはまだ一つの願いが残っていました。自分が特別な存在だと証明するために、できるだけ早く大きくなりたいと思っていたのです。

そこで、何枚かの葉がつくと、芽はできるだけたくさんの水を吸い上げようとしました。一番湿った土のほうへ根を伸ばし、自分の周りにある貴重な水滴を抱え込んだのです。隣の草の茂みは、生きていくのに十分な湿り気を得られなくなりました。小さな花の一株が言いました。

「私たちに少し水を分けてくれない? 私たちの根は、もう乾いてしまいそうなの」

芽は黙っていました。自分の葉を見つめました。水を分ければ、自分はもっとゆっくり成長するかもしれません。けれど、水を取っておけば、庭で一番高い木になれるかもしれません。

その夜、熱い風が庭を吹き抜けました。乾いた草の茂みは地面に張りつくように横たわっていました。芽は、ほこりでせき込む子ウサギの声と、弱々しく飛ぶミツバチの群れの羽音を聞きました。そのとき芽は、イチジクの木やアリの群れ、子ウサギが自分に水を与えてくれたことをふと思い出しました。

「みんなが自分の分だけを抱え込んでいたら、ぼくは今日まで生きてこられなかった」と、芽は思いました。

次の朝、庭師さんが水をやると、芽は若い根を使って、その水の一部を小さな花の畝へ導きました。水は土にしみ込み、しおれかけた草の茂みの近くまで届きました。別の一部はミントの根元のほうへ流れていきました。

水のおかげで、小さな花は顔を上げました。ミントの葉も少しずつ緑色を取り戻しました。芽は成長が少し遅くなりましたが、幹は丈夫になりました。根はさまざまな方向へ広がり、風に土をさらわれないように押さえました。

数週間後、木の幹に幅の広い葉が現れました。葉は昼になるとアリの群れに涼しい日陰を与えました。子ウサギは木陰に横たわって休みました。小さな花々は風が吹くと木の幹に寄りかかりました。芽はもう、階段のそばに転がっていた小さな種ではありませんでした。青々とした若木になっていたのです。

ある朝、庭師さんは木の枝に初めての花のつぼみがついているのを見つけました。庭師さんは喜んで、村の子どもたちを呼んで見せました。みんなは、内側から優しい香りを漂わせる淡い白色の花を見て、感嘆の声を上げました。

しかし、みんなをさらに驚かせたのは、木の根元からたくさんの小さな芽が顔を出していたことでした。最初の花々が種をつくり、その種が地面に落ちたのです。若木は小さな芽たちを見て、自分が庭でただ一つの大きな木になる必要はないのだと理解しました。ほかの多くの木々が一緒に成長できるよう、助けることができるのです。

「みんな、ここにいてね」と、若木は言いました。「みんなが大きくなったら、私たちで一緒に庭に木陰をつくろう」

小さな芽たちは、うなずいているかのように風に揺れました。

小さな種から学ぶこと

その後、雨季が戻ってきました。小川は水で満たされ、草が小道を一面に覆い、キクの花は再びフェンスのそばで黄色く咲きました。庭は以前のように緑になっただけでなく、さらに豊かに生い茂りました。若木は、鳥たちが羽を休める場所となり、ウサギたちが休む場所となり、ミツバチの群れに香りを与える源となりました。

新しい種が一粒落ちるたびに、庭は世話をすることでその種を受け入れました。アリの群れは土を寄せ、年老いたイチジクの木は日陰をつくり、庭師さんは水をやり、大きな木々は小さな木が伸びていけるように、互いに空間を分け合いました。

若木はよく、小さな芽たちに自分の最初の日々について話しました。みんなより早く大きくならなければ、自分は大切な存在になれないと思っていたことを話しました。しかし、やがて若木は理解しました。丈夫な木は、太陽の光と水だけでつくられるのではありません。周りの命から受ける助けや、感謝の気持ち、そして分かち合う力によっても成長するのです。

子どもたちにとって、この種の物語は、誰もがとても小さなことから始められるのだと教えてくれます。一言の気遣い、譲り合うこと、助けの手を差し伸べること、あるいは友だちとおもちゃの一部を分け合うことは、どれも乾いた土地に落ちる一滴の水のようなものです。善い行いは小さなものかもしれません。しかし、ちょうどよい時に差し出されれば、誰かが前へ進むための力を得る助けになります。

そして、小さな善意がいくつも重なれば、温かな庭をつくることができます。そこでは、目立つ存在になるために、誰も争う必要はありません。誰もが成長する場所を持ち、涼しい木陰をつくり、受け取った優しさをほかの人へ返すことができるのです。