昔々、緑の丘の斜面にある村のはずれに、アンという女の子が住んでいました。アンは、家の前にブーゲンビリアの棚がある小さな家で、母親と暮らしていました。アンは、何もかもがとても早く成長するのが大好きでした。豆を一粒土にまくと、根が伸びたかどうかを見るために、毎朝掘り返していました。母親がケーキを焼くと、焼き上がったか知りたくて、数分おきに鍋のふたを開けていました。母親はいつも微笑みながら言いました。
「何度も見つめたからといって、大きくなれるものばかりではないのよ、アン」
アンはその言葉を聞いても、まだ意味がよく分かりませんでした。女の子の心の中では、かわいらしいものは何でも、すぐに姿を現さなければならなかったのです。蝶は繭から出たらすぐに飛ばなければならず、花は水をもらったらすぐに咲かなければならず、約束はその日のうちに果たされなければなりませんでした。
布袋の中の種
春の初めのある朝、アンが母親について丘の上の森へ薬草を摘みに行ったとき、栗の木の根元に座っているおばあさんを見つけました。おばあさんは真っ白な銀髪をして、小さな手のそばには茶色い布袋が置かれていました。おばあさんの前には乾いた土地が広がり、そこでは数本の黄色い草だけが風に身を傾けていました。
アンは礼儀正しくおばあさんにあいさつし、好奇心いっぱいに尋ねました。
「おばあさんは何を探しているのですか?」
おばあさんは袋の中から、蜂蜜のしずくのように明るい色をした、小さく丸い種を取り出しました。
「この種をまく場所を探しているのよ。この種は、待つことを知っている人がいる場所でしか芽を出さないの」
アンはすぐに両手を差し出しました。
「私にください! 大切に育てます」
おばあさんはしばらく女の子を見つめ、それから種をアンに手渡しました。
「家の前にまきなさい。毎日、小さなひしゃく一杯の水だけをあげるのよ。土を掘り返して見てはいけないし、種を揺らしてもいけない。まだ芽が出ないからといって、腹を立ててもいけません。待ちながら、それでも愛することを覚えたとき、その種は自分で目を覚ます道を見つけるでしょう」
アンは力いっぱい頷きました。自分ならきっとできると信じたのです。帰り道、アンは手のひらの中の種をずっと大切に握りしめ、家の屋根まで届くほど高い花の木を想像していました。その枝には、夜にも輝く黄色い花が咲いていました。
期待に胸を膨らませた最初の日々
家に着くと、アンはブーゲンビリアの棚のすぐ下にある、柔らかな土の一角を選びました。小さな棒でちょうどよい深さの穴を開け、種を置いてから土をかぶせました。アンはひしゃく一杯の水を、細心の注意を払ってかけました。それから、土の畝のそばにしゃがみ、待ちました。
一時間が過ぎました。何も起こりません。
アンはもっと近くへ身を寄せました。地面は相変わらず静まり返っています。
夕方になると、女の子は棒を土に差して試してみました。それを見た母親は、すぐに優しく止めました。
「おばあさんの言いつけを忘れたの?」
「でも、種が元気かどうか見たいだけなの」
「何かが元気かどうか知りたいとき、ときにはそっとしておかなければならないのよ」
アンは仕方なく棒を置きました。その夜、女の子はベッドに横になっても、ずっと種のことを考えていました。土の中で種が寒さに震え、誰かに覚えていてもらえるのか分からずにいるような気がしたのです。そう思うと、アンは家の前へ走っていき、土の畝の周りに薄い布をかぶせてから、ようやく安心して眠りにつきました。
翌朝、アンはとても早く目を覚ましました。土の畝を見ると、とても小さな緑の点が顔を出していました。アンは嬉しさのあまり、母親を呼ぶ大声を上げそうになりました。女の子は身をかがめ、芽に触れようとしましたが、すぐにおばあさんの言葉を思い出しました。アンはただそばに座り、微笑んで、小さなひしゃく一杯の水をかけました。
三日目、緑の点はまだ緑の点のままでした。四日目、それは少しだけ高くなりました。そして五日目、突然、強い風が吹きました。ブーゲンビリアの棚が揺れ、枯れ葉が庭いっぱいに舞いました。アンが外へ走り出ると、芽はすっかり片側に傾いていました。
焦りが物事を難しくするとき
アンは慌てました。女の子は若い芽のそばに枝を一本立て、茎をきつすぎるひもで枝に結びつけました。アンは、これで芽がしっかり立てるよう助けているつもりでした。しかし夜になると、芽の茎を締めつけたひもによって、芽はますます上へ伸びにくくなっていました。
それを見た母親は、急いでひもをほどきました。アンはうつむきました。
「守ってあげたかっただけなの」
「守りたいと思うのは、よいことよ」と母親は言いました。「でも、よく見ないままだと、焦りが相手を息苦しくさせることもあるの。世話をするというのは、命あるものの代わりに何もかもしてあげることではないわ。そのものが自分で成長できるように、安全な場所をつくることなのよ」
アンは長い間、芽のそばに座っていました。そのとき初めて、女の子は愛することが、ただ早く結果を見ることではないのだと気づきました。愛することは、ちょうどよい量の水をやり、風を少し遮り、それから後ろへ下がって、芽が自分で光を探せるようにすることなのかもしれません。
それからの日々、アンは世話の仕方を変えました。もう土を掘り返すことも、根を見るために芽を引き抜くことも、水をやりすぎることもありませんでした。毎朝、アンは土の畝のそばに座り、その日の小さな出来事を芽に話して聞かせました。戸口の段でよく眠る三毛猫のこと、母親が作ってくれた食事のこと、村の子どもたちが凧揚げの練習をしていることを話しました。
芽はゆっくりと、それでも元気に成長しているようでした。最初の二枚の葉が開き、陽の光を迎える小さな手のひらのように、透き通る緑色をしていました。
夏の庭からの教え
夏の初め、若木はアンの膝の高さまで成長しました。茎には銀色の小さなつぼみが現れました。アンは喜んで母親に知らせに走り、それから、つぼみを一つ摘んで丘のおばあさんへの贈り物にしようとしました。しかし母親は尋ねました。
「その花のつぼみは、もう準備ができたと思う?」
アンはじっくり見ました。つぼみはまだ固く閉じたままで、外側にはまだ開いていない薄い花びらがいくつかありました。女の子は首を横に振りました。
「たぶん、もう少し時間が必要なのね」
「それなら、一緒に待ちましょう」
アンは、おばあさんの言葉の意味を少しずつ理解し始めました。待つことは、退屈や不満を抱えながらじっと座り、一日一日を数えることではありません。待つこととは、自分のすべきことを続け、信じる心を持ち続けながら、価値あるものがそれぞれ持つ成長のリズムを尊重することなのです。
木が花を咲かせるのを待つ間、アンはその教えをほかのことにも生かしました。弟が果物の籠をひっくり返したとき、アンはすぐに弟を叱らず、一緒に一つずつ果物を拾いました。ミンという友達が読むのにまだ時間がかかったとき、アンはもっと早く読むよう急かさず、文を最後まで聞きました。母親が新しい袋をまだ縫い終えていないとき、アンは何度も尋ねる代わりに、自分から母親の手伝いをしました。
村の人々は、アンが以前とは変わったことに気づきました。女の子は相変わらず明るく、昔と同じようにたくさんの質問をしましたが、もう何もかもが自分の思いどおりに起こらなければならないとは思わなくなっていました。アンは以前より人の話に耳を傾け、相手が話し終わるまで待てるようになり、人にはそれぞれ成長するための季節があるのだと知りました。
心が開いたときにだけ咲く花
月の明るいある夜、長く降り続いた雨のあと、アンの家の前の若木が突然花を咲かせました。それは淡い黄色の花びらが幾重にも重なった、大きな花でした。花はアンが想像していたようなまばゆい光を放ってはいませんでした。その代わり、通りかかる人が誰でも足を止めたくなるような、優しい香りを漂わせていました。
翌朝、丘のおばあさんが家の門の前に現れました。おばあさんは花を見て、微笑みました。
「アンが待つことを知ったから、種は目を覚ましたのよ」
アンは尋ねました。
「この花には、何か特別なことができるのですか?」
おばあさんは答えました。
「一番特別なことは、まだ小さなものを忘れずに世話するよう、みんなに思い出させてくれることよ。励ましの言葉、悲しんでいる友達、まだ形になっていない夢、そしてアン自身も、時間と忍耐を必要としているの。何でも急いで大きくしようとすれば、傷つけてしまうかもしれない。放っておけば、枯れてしまうでしょう。必要なのは、ちょうどよい関心と、焦らない心なのよ」
アンは花を見つめました。女の子はふと、おばあさんがくれた贈り物は、ただ一粒の種だけではなかったのだと理解しました。それは、アンが自分自身を見つめ直す機会でもあったのです。以前のアンは、待つことを嫌なものだと考えていました。けれど今では、待つことはとても深い愛し方にもなり得ると知っていました。
それからというもの、アンの家の前では、季節ごとに黄色い花が咲きました。毎日、花が鮮やかに咲いているわけではありません。ある日は木の葉が虫に食べられ、ある日は枝が風に折れることもありました。それでもアンは悲しんだり、あきらめたりしませんでした。木をよく観察し、直し、世話をし、回復するのを辛抱強く待つことを覚えたのです。
何年もたち、アンが大きくなってからも、女の子はおばあさんが残してくれた古い布袋を大切に持っていました。村の子どもが種を欲しがるたびに、アンはその子に種を渡し、こう言い聞かせました。
「優しい手でまいてね。毎日こつこつ世話をしてね。そして覚えておいて。大切なものは、私たちが望んだときにいつもすぐ花を咲かせるとは限らないのよ」
小さな庭では、新しい芽が次々に顔を出しました。早く大きくなる芽もあれば、ゆっくり育つ芽もあり、何度も雨に打たれてようやくしっかり立てるようになる芽もありました。アンはそれらを互いに比べませんでした。どの種にもそれぞれの道があり、人が強く、そしてよく成長するために必要な時間も、それぞれ違うのだと理解していたからです。
こうして、待つことを知る種の物語は、世代から世代へと語り継がれていきました。大人たちは眠る前の子どもたちに聞かせ、子どもたちは花畑の畝のそばで互いに語り合いました。聞いた人は皆、素朴な一つのことを心に刻みました。成長しているものには辛抱強く接すること、まだ成長しきっていない人には優しく接すること、そして、今日ひそかに続ける世話が、明日にはとても美しい花となって咲くかもしれないと信じることです。


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