夏を呼び戻す風鈴

昔々、海辺にある小さな村のはずれに、アンという女の子が住んでいました。アンは、青い瓦屋根の家で祖母と暮らしていました。家の前には、年中鮮やかな花を咲かせるブーゲンビリアの木がありました。毎朝、太陽が海の水平線から顔を出すと、アンは軒先へ走っていき、屋根の下に吊るされた風鈴の澄んだ音を聞くのが日課でした。その風鈴は、白い貝殻や小さな木片、そして古びた銅の葉から作られていました。風が吹き抜けるたびに、誰かが小さな声で歌っているような、清らかな音を奏でました。

祖母は、その風鈴がずっと昔から家にあったのだと話してくれました。アンの母親がまだ幼かった頃、祖母は浜辺で貝殻を拾い、それをつないで風鈴を作ったのだそうです。「この風鈴は、風を呼ぶだけじゃないんだよ」と祖母は言いました。「人々が、これまで互いに贈り合ってきたすばらしいものを思い出させてくれるのさ」

アンはその風鈴が大好きでした。風鈴の音一つ一つに、物語が込められていると信じていたのです。高く響く音は朝の挨拶、かすかな揺れは昼の子守歌、そして夜に遠くまで響く音は、海が今も人々の声に耳を傾けているという知らせでした。

風が消えた日

ある夏、不思議なことが起こりました。何日もの間、空は青く、海は明るく輝いていましたが、村を吹き抜ける風は一度もありませんでした。船の帆は動かず、ヤシの木も揺れません。庭に干した khănは、いつものようにはためくことなく、だらりと垂れ下がったままでした。

家の軒下の風鈴も、静まり返っていました。アンは軒先に立ち、貝殻にそっと手を触れました。貝殻はかすかにぶつかり合って小さな音を立てただけで、また静かになりました。

風がなくなると、海辺の村は悲しげになりました。漁師たちは船を海へ出せません。子どもたちは砂浜で凧揚げができません。家々のうちわでは、暑さを追い払うには足りませんでした。さらに心配なことに、村の共同井戸は日に日に干上がっていきました。雲が海のほうへ流れて雨を運んでくることを拒んでいたからです。

村人たちは、大きなアーモンドの木の下に集まり、どうすればよいか話し合いました。とても高い帆柱を立てるべきだと言う人もいました。丘の上で火を焚いて風を呼ぼうとする人もいました。ほかの何人かは、空が村のことを忘れてしまったのだと嘆き、ただ座り込んでいました。

アンは祖母の言葉を思い出しました。風鈴は、人々にすばらしいものを思い出させることができるのです。アンは、風鈴に風を呼び戻すことができるのか、祖母に尋ねました。

祖母は微笑みましたが、その目には考え込むような色が浮かんでいました。「できるかもしれないね。でも、風鈴を強く揺らせばいいというわけじゃない。自分勝手な呼び声に、風はやって来ないんだよ。風を戻したいなら、風がこの村を訪れたくなる理由を見つけなければならないのさ」

海辺での探しもの

翌朝、アンは小さな籠を持って浜辺を歩きました。風鈴を直すための新しい材料を探したかったのです。道の途中で、アンは二つの石の間に挟まれて動けなくなっている小さなカニに出会いました。カニは這い出ようとしましたが、はさみがますます深く挟まってしまいました。

アンは籠を置き、小石を一つずつ辛抱強く取り除き、それから木の枝を使って石を持ち上げました。カニは抜け出すと、急いで水際へ這っていきました。白い泡の下へ姿を消す前に、振り返って片方のはさみを振りました。

さらに歩いていくと、アンは低い茂みの下に横たわる幼いカモメを見つけました。翼を痛めていて、飛ぶことができません。アンは籠の中の布で鳥をそっと包み、浜辺の近くにある空き小屋へ連れていきました。少し水を探し、漁師のおじさんに頼んで、鳥に小さな魚の切り身をいくつか置いてもらいました。アンはカモメが元気になるまで世話をするつもりでしたが、風鈴を直す材料も探さなければならないことをふと思い出しました。

アンは歩き続けました。澄んだ水たまりの近くで、ミンという男の子が、小さな木の舟を泥から引き出そうとしているのを見かけました。ミンは隣の地区に住んでいて、友達が遊び道具を一緒に使いたがらないため、いつも一人で遊んでいました。アンを見ると、ミンは恥ずかしそうに、これは父親からの贈り物なのに、自分で泥にはまらせてしまったのだと言いました。

アンは笑いませんでした。袖をまくり上げ、ミンと一緒に舟の周りの泥を掘りました。二人は懸命に作業し、ようやく舟を引き上げることができました。ミンが喜ぶ一方で、アンは海水に磨かれて滑らかになった丸い木片を拾いました。風鈴にぴったり合いそうだと思いました。

別れる前に、ミンは乾いた草の茎を編んだひもをアンに渡しました。「これで風鈴を結んでよ」とミンは言いました。「昨日の夜に編んだけど、何に使えばいいのかわからなかったんだ」

アンはミンにお礼を言いました。自分の籠の中にあるのは、もう貝殻や木片やひもだけではないと気づいたのです。そこには、出会った人々の助けも入っていました。それでも、どうすれば風を呼び戻せるのかは、まだわかりませんでした。

岩穴の秘密

その日の午後、アンが村のはずれにある岩壁のそばを通りかかると、とても小さな音が聞こえました。波の音でも、鳥の声でもありません。小さな岩穴からため息が漏れているような音でした。

アンは身をかがめ、岩穴の中へ入っていきました。中は外より涼しく、岩壁には波のようにうねる模様が刻まれていました。洞窟の中央には青い土器の壺があり、口は木のふたで閉じられていました。壺の中から、さらさらという音が聞こえてきます。

「誰かいるの?」とアンは尋ねました。

「わしは、夏の最後の風だ」と声が答えました。「この壺の中に隠れたのだ。村の誰も、喜びを分かち合うことを覚えていなくなったからな」

アンは驚きました。「でも、みんなとても悲しんでいるわ。暮らしを楽にするために、風に戻ってきてほしいと思っているのよ」

「皆、自分を助けてほしいとは思っているが、風に何が必要なのかを尋ねた者は誰もいない」と、壺の中の声はゆっくり話しました。「昔、村の人々は互いに船を引き上げ、力を合わせて屋根を直し、最初に獲れた魚を分け合っていた。彼らの笑い声が、風を何度も訪れさせていたのだ。だが、いつの間にか、誰もが良いものを自分だけのために取っておくようになった。帆は張られていても、海に感謝する言葉はもうなかった」

アンは、集会で聞いた人々の嘆きを思い出しました。そして、風鈴だけでは村全体を変えられないのだと理解しました。人々が変わり始めて初めて、風鈴は音を奏でることができるのです。

「風を戻すには、私は何をすればいいの?」とアンは尋ねました。

「風鈴を、皆が一緒に聞ける場所へ持っていきなさい。大きな約束をするよう求めてはいけない。それぞれが、見返りを求めずに一つの善いことをすればよいのだ。善意の音が十分に重なったとき、わしは帰り道がわかるだろう」

アンは壺を村へ持ち帰ってよいか尋ねました。しかし風は、心からの行いと結びついた物で風鈴を直して初めて、洞窟を出ることができるのだと言いました。アンは手にした籠を見つめ、自分が必要なものをすでに見つけていたことを理解しました。

最初の鐘の音

アンが家に戻ったとき、空はちょうど暗くなり始めていました。祖母はアンの話を聞くと、一緒に風鈴を直しました。ミンがくれた木片は、風鈴の中央に取り付けられました。草のひもは、貝殻を結ぶために使われました。アンは小屋の近くに落ちていたカモメの羽を一枚拾い、風が吹き抜けるたびに知らせとなるよう、一番下に取り付けました。

翌朝、アンは風鈴を村の広場の中央へ持っていきました。そして、カニやカモメ、ミン、岩穴の中の風について、皆に話しました。子どもの作り話にすぎないと笑う人もいました。しかし祖母が前へ進み、穏やかに言いました。たとえその話が不思議なものかどうかにかかわらず、助け合うことはいつだって尊いのだ、と。

ミンもやって来ました。木の舟を持ってきて、これからはほかの友達にも一緒に遊ばせると話しました。アンがカモメの世話をするのを助けてくれた漁師のおじさんは、魚の入った箱を持ってきて、食べ物の足りない家々に分けました。ある人々は浜辺へ出て、岩に絡まった古い網を取り除き、カメや海鳥が傷つかないようにしました。ほかの人々は、一人暮らしのおばあさんの家の屋根を修理しました。

誰も誰かに命令したわけではありません。皆、自分にできることを一つ選んだだけでした。昼になる頃には、静まり返っていた村の広場に、話し声や笑い声、助け合うために呼びかける声が響いていました。

アンは広場の中央にある木の柱へ風鈴を吊るしました。初めのうち、風鈴は静かなままでした。皆は辛抱強く待ちました。すると、草のひもがかすかに揺れました。貝殻が木片にそっと触れ、澄んだ音を響かせました。

その直後、海面に長い波紋が現れました。アーモンドの葉が揺れました。涼やかな空気の中で、皆の髪がそよぎました。風が戻ってきたのです。

村の新しい夏

その日から、村の人々は善い行いを、あまりに小さくて口にするほどではないものだとは考えなくなりました。船を引く手助けをする手、一杯のご飯を分け合うこと、心からの感謝の言葉。そのどれもが、暮らしをより温かなものにできるのだと理解したのです。

風はいつも強く吹くわけではありません。家の屋根をかすめるだけの日もあれば、砂浜を勢いよく走り抜け、子どもたちが歓声を上げる日もありました。それでも、広場の風鈴はいつも音を響かせていました。一つ一つの音が、喜びはどこからともなく降ってくる贈り物ではないと、村人たちに思い出させました。喜びはたいてい、とても小さな親切から始まり、人から人へと広がっていくのです。

カモメはその後すっかり元気になり、海へ飛んで帰りました。カニは、アンが散歩をすると今でも水たまりのそばに姿を現します。そしてミンは、アンの一番の親友になりました。二人は一緒に、村の家々へ贈るための小さな風鈴をたくさん作りました。

毎晩、祖母とアンは軒下に座り、風鈴の音を聞きました。アンはもう、一つ一つの音がどんな物語を語っているのかを当てようとはしませんでした。最も美しい物語とは、人々の素朴な行動によって書かれる物語なのだと、アンは理解したのです。

そして、もしある日、穏やかな夕暮れに風鈴の音が響くのを耳にしたなら、それは、あなたの周りのどこかに、助けの手や励ましの言葉、あるいは分かち合える喜びを必要としている人がいるという知らせなのかもしれません。