小さな豆が庭のために太陽を探す

赤土の道の行き止まりに、丘の斜面に寄り添うようにして小さな庭がありました。庭は広くありませんでしたが、一年中いつも、枝から枝へ飛び移る鳥の声や、蜂のぶんぶんという音、そして若葉のやさしい香りに包まれていました。その庭では、どの植物にもそれぞれ仲のよい友だちがいました。菊の花はミントの茂みと遊び、ヘチマの棚はスターフルーツの木とよくおしゃべりをし、土の中にいる豆たちは木造の家の屋根を打つ雨音を聞くのが好きでした。

そんな豆たちの中に、緑豆くんというとても小さな豆がいました。緑豆くんは淡い緑色の皮をしていて、真ん中にはかわいらしい白い点があり、好奇心旺盛な性格でした。年上の植物たちが外の世界の話をするたびに、緑豆くんは高い山々や、きらきら輝く川、いつまで見ても果てが見えないほど広い野原を想像しました。

ところが、そのころ緑豆くんの庭は、以前のように楽しくありませんでした。何日も何日も、灰色の雲が空をすっかり覆っていました。雨は降らず、風も静まり返り、太陽の光はどこへ行ってしまったのか、誰にもわかりませんでした。庭の土はだんだん乾き、緑の葉はうなだれ始めました。菊の花は満開にならなくなり、ヘチマの棚は揺れるのをやめ、年老いたスターフルーツの木は、寂しく長い夕暮れにため息をつくことしかできませんでした。

庭から光がなくなった日

ある朝、スターフルーツの木のおじさんは、まばらな葉の下に庭の住人を全員集めました。そして、ゆっくりした声で言いました。

「このままでは、庭は新しい芽を育てる力が足りなくなってしまう。太陽の光がどこへ行ったのか、そしてどうすれば太陽を呼び戻せるのか、調べる必要があるね」

植物たちはざわめきました。菊の花は、根が深く土に張っているから行けないと言いました。ミントの茂みは、湿って涼しい場所の周りを這うことしかできないと言いました。ヘチマの棚は、自分の巻きひげを見て首を横に振りました。みんな庭を助けたいと思っていましたが、誰もがそこを離れられない理由を持っていました。

それを聞いた緑豆くんは、胸の中が急に熱くなりました。自分はただの小さな豆で、まだ植物に育ったこともなく、畑の外に何があるのかも知りません。それでも、勇気を振りしぼって言いました。

「ぼくが太陽の光を探しに行けます。ぼくは軽いから、風に乗って転がったり、岩のすき間を通り抜けたりできます。見つけたら、みんなにうれしい知らせを持って帰ります」

庭全体が、しばらく静まり返りました。何粒かの豆は、緑豆くんがあまりにも小さいと思って笑いました。隣にいた菊の花が花びらをそっと揺らし、やさしくたずねました。

「外の道は、とても遠いかもしれません。あなたには足も翼もなく、食べ物も持っていけません。それでも、本当に行きたいのですか?」

緑豆くんは灰色に濁った空を見上げて答えました。

「ぼくにできるかどうかはわかりません。でも、試さなかったら、いつまでも答えがわからないままです」

緑豆くんの旅

その日の午後、そよ風が庭にやって来ました。スターフルーツの木のおじさんは、緑豆くんを丘のふもとまで運んでくれるよう、風に頼みました。出発する前に、菊の花は花びらに残っていた露を一滴、緑豆くんに贈りました。ミントの茂みは、故郷の香りを忘れないようにと、香りのよい葉を一枚贈りました。そしてスターフルーツの木のおじさんは、こう言いました。

「暗い場所に出会っても、太陽の光が消えてしまったと、すぐに思ってはいけないよ。光は、何かにさえぎられているだけかもしれないからね」

緑豆くんは風に乗って転がっていきました。茶色い草地を越え、古い木の橋を通り過ぎ、干上がった小川のそばで止まりました。そこでは、野ネズミが石の間に挟まった枝を一生懸命引っ張っていました。

「何をしているの?」と緑豆くんがたずねました。

野ネズミは息を切らしながら答えました。

「ここ数日、小川が流れていないんだ。この枝がいちばん狭いところをふさいでいるんだけど、いくら引っ張っても抜けないんだよ」

緑豆くんは枝を見つめました。自分には枝を引っ張る力はありません。でも、石のすき間に転がり込んで、どこに引っかかっているのかを探すことはできそうです。しばらく観察すると、枝の下にとがった石があるのを見つけました。その石を横へ押せば、枝は軽くなるはずです。緑豆くんは勢いをつけ、石に向かって強く転がりました。一度目は、石が少し動いただけでした。二度目は、緑豆くんが後ろへ跳ね返されました。そして三度目、石は小川の中へ転がり落ち、枝も一緒に滑り落ちました。

上流から来た水はすぐに石のすき間を通り抜けました。最初は細い流れでしたが、やがてさらさらと音を立てて流れ始めました。野ネズミは大喜びで緑豆くんにお礼を言いました。そして、小川の岸にある湿った土のくぼみへ緑豆くんを案内し、そこで休ませてくれました。

その夜、緑豆くんは流れる水の音を聞きながら、スターフルーツの木のおじさんの言葉を思い出しました。太陽の光は、消えてしまったのではないのかもしれない。どこかで、何かの障害物がすべてを暗くしているのかもしれない、と。

丘の頂上にかかった雲の幕

翌朝、野ネズミは緑豆くんを丘の頂上へ連れていきました。いちばん高い場所から見下ろすと、緑豆くんは不思議な光景を目にしました。空に浮かぶ灰色の雲は流れ去らず、大きな輪のように集まっていたのです。その雲の輪の真ん中には、風に飛ばされて枯れ枝に引っかかった鳥の巣がありました。巣が風の通り道をふさいでいたため、雲はそこにたまり続けていたのです。

巣の中では、三羽のひな鳥が震えていました。母鳥はその周りを飛び回り、心配そうに鳴いていましたが、枝があまりにも高いため、巣を下ろすことができませんでした。

「助けてあげなくちゃ」と緑豆くんは言いました。

野ネズミは枝を見上げ、それから緑豆くんの小さな体を見下ろしました。

「ぼくは高いところまで登れない。きみも飛べないよ」

緑豆くんは長い間考えました。小川の流れをよみがえらせたことを思い出しました。水は丘のふもとを流れていて、そのそばには柔らかくて長いつる草がありました。緑豆くんは、ある考えを思いつきました。野ネズミは走って下へ行き、つる草を引っ張り上げました。緑豆くんはその後ろを転がりながら、小さな小石を体で押さえ、つる草が坂を滑り落ちないようにしました。

二人の友だちは、つる草を結んで長い一本のひもにしました。母鳥はひもの端をくわえて枝まで飛び上がり、野ネズミはもう一方の端を木の根元へ引っ張りました。緑豆くんは、ひもをしっかり固定できる丈夫な土のすき間を探しました。ひもがぴんと張ると、巣は少しずつ滑り落ちてきました。母鳥はひなたちを安全に外へ連れ出しました。

ちょうどそのとき、強い風が丘の頂上を吹き抜けました。枯れ枝が大きく揺れ、巣は引っかかっていた場所から外れました。灰色の雲が動き始めました。雲は少しずつ散っていき、その後ろから淡い金色の光が一筋姿を現しました。

緑豆くんは顔を上げました。何日ぶりでしょう。初めて太陽の光を見ることができました。太陽の光は消えていなかったのです。ただ、巣と、飛び去ることのできなかった雲に閉じ込められていただけでした。

緑豆くんが持ち帰ったもの

母鳥は緑豆くんと野ネズミにお礼を言いました。別れる前に、母鳥は丘の頂上を一周してから、二人の友だちを庭へ戻る道へ案内しました。太陽の光は二人の後を追い、山の斜面を滑り、草や石、そして光を求めていた葉の上に、金色の筋を一本一本落としていきました。

緑豆くんが庭へ戻ると、庭はすっかり明るくなっていました。菊の花は顔を上げ、ミントの茂みはそよそよと揺れ、ヘチマの棚は柔らかな緑の巻きひげで風を迎えました。みんなは緑豆くんを取り囲み、話を聞きたくてたまりませんでした。

緑豆くんは、干上がった小川や、野ネズミ、ひなたち、そして枯れ枝に引っかかっていた巣のことを話しました。そして、太陽の光はもともと庭を離れていなかったのだとも話しました。小さな障害物が道をふさいだとき、誰もが自分には何もできないと思ってしまえば、暗闇はもっと長く続いてしまうのです。

スターフルーツの木のおじさんは、うなずきながら言いました。

「おまえは太陽の光だけでなく、信じる心も持ち帰ってくれたね。小さな豆でも、よく観察し、あきらめず、友だちに助けを求めることを恐れなければ、大きなことを始められるんだよ」

それから数日がたつと、庭は少しずつ元気を取り戻しました。小川は流れ続け、土は潤い、若葉が再び芽吹きました。緑豆くんは新しい畑にまかれました。土の中に横たわり、初夏の雨の音を聞きながら、自分の旅を思い出しました。

やがて、淡い緑色の皮から小さな芽が顔を出しました。その芽は太陽の光を浴びようと伸び、少しずつ大きくなって、元気な豆の木になりました。茎には最初の葉が開き、まるで世界にあいさつをする小さな手のひらのようでした。

小さな子どもたちへの小さな教訓

緑豆くんの物語は、大きなことを成し遂げられるのは、いつもいちばん強い人や、いちばん背の高い人とは限らないと教えてくれます。ときには、小さな考えや、あきらめずに続ける行動、あるいはよいタイミングで助けを求めるひと言が、大きな変化を生み出すことがあります。緑豆くんは自分ひとりで枝を引っ張ることも、丘の頂上まで飛んでいくこともできませんでした。それでも、よく観察し、自分に合った方法を考え、自分とは異なる力を持つ友だちと協力しました。

難しいことに出会ったとき、子どもたちはまず落ち着いて、何が起きているのかを見てみることから始められます。まだできないときは、別の方法を試したり、お父さんやお母さん、先生、友だちに助けてもらったりしましょう。最初に失敗したからといって、できないという意味ではありません。もう一度試したり、新しい考えを思いついたり、一緒に歩いてくれる友だちがいたりするだけで、前の道がもっと明るく見えることもあります。

そして緑豆くんのように、子どもたちはみんな、簡単な行いを通して、家族や教室、近所に少しの光をもたらすことができます。遊んだ後におもちゃを片づけること、友だちと分け合うこと、植物の世話をすること、「ありがとう」と言うこと、そして誰かが困っているのを見たら進んで助けることです。